函館地方裁判所 昭和33年(む)189号 判決 1958年10月02日
被告人 久保幸一
★ 決定
(申立人氏名略)
右の者から被告人久保幸一に対する傷害被告事件について裁判官がなした昭和三十三年九月三十日付保釈却下決定に対し準抗告の申立があつたので、当裁判所は、次のとおり決定する。
主文
一、原決定は、これを取消す。
二、被告人久保幸一に対する保釈を許可する。
保証金は金二万円とする。
出監の上は別紙指定の条件を忠実に守らなければならない。もし、これに違反するときは、保釈を取消され、保証金をも没取されることがある。
理由
本件申立の要旨は、申立人は被告人のため昭和三十三年九月二十六日保釈の請求をしたところ、係り裁判官は、刑事訴訟法第八十九条第四号に該当するとの理由のもとに同月三十日保釈却下決定をなしたが、本件についての捜査はすでに全部終了し、被告人は終始一貫して犯罪事実を自白し、関係人の供述も合致しているので、被告人において罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由はないので、前記却下決定を取消しの上更に相当の裁判を求めるというにある。
一件記録によると、所論の理由で保釈却下決定がなされているところ本件被告事件に関する捜査は十分つくされておるし、被告人は、警察官検察官の取調に対し終始一貫犯罪事実を自白しており、罪証を隠滅するおそれがないものと認められるので、本件準抗告は理由があるものというべきであるから、刑事訴訟法第四百三十二条第四百二十六条第二項に則り主文のとおり決定する。
(裁判官 西岡稔 小山俊彦 井野三郎)
★ 「別紙」
指定条件
一、逃亡若しくは罪証を隠滅すると疑はれるような行動は避けなければならない。
二、召喚を受けたとき、正当な理由がないのに出頭しないようなことがあつてはならない。
三、被告人は、北海道亀田郡亀田村字神山百一番地に居住しなければならない。
尚七日以上の旅行又は転居の際は予め書面を以て当裁判所に申出で許可を受けなければならない。